国交省が主導し日本全国で整備されてきている3D都市モデルのオープンデータであるPLATEAUを活用し、京都ならではの文化・歴史・町並みを表現するハッカソンが開催されます。
最近、3Dスキャナが普及したことにより、それを使って3D点群データを採取し、歴史的建造物のデータを保存しようとする試みが世界中で見られるようになってきています。それは二次元図面よりはるかに細密なデータで残すことができるわけなので、再現性が高くなり、確かに「保存」という行為のレベル・質を格段にあげることができるということになります。しかし、PLATEAUが進めているのは、都市全体を3D化するというもので、このデータは建築の3D化とはまったく異なる捉え方をしないといけなくなります。建築物のすべてが繋がっているわけですからね。ではこの場合、「保存」としての使い方はあり得るのだろうか。あるいは歴史環境を新しく解釈する方法を見出すとか、あるいは京都市が熱心に取り組み景観保存に役立つとか、何かに使えるものなのだろうか。そもそも建築の3Dデータは、実態が失われた場合でもそのデータに価値が残るわけだけど、都市全体のデータについては、その実態は常に更新され続けるわけで、作成した時点だけのデータは何の意味があるのだろうか。などなど、PLATEAUそのものが何を目指しているのかという根本からよくわからないことが多いのです。そんなあれこれを、国交省も関わる「歴まち法」に基づく「京都市歴史まちづくり推進会議」の中で担当者とぶつぶつしゃべっていたら、今回のハッカソンの審査員になってしまいました。見てもらえばわかるとおり、いまどきのデジタル業界の方々にまじって、一人だけ浮きまくっています。まあ、一人ぐらい歴史屋みたいのを入れておかないと、ふわふわした盛り上がりだけで終わってしまうという危惧もあるのでしょうね。そのための重石ぐらいの意味ですかね、私は。いずれにしても、「3D都市モデルを活用していただき、千年の都の町並みの移り変わりや、現在まで残る歴史や文化を再現することを期待します」とのことですので、興味のある方は、参加してみてください。ハッカソンですので、デジタル関係の知識や技術がなくてもまったくかまわないはずです。アイデアの勝負ですね。