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「友愛」の力とは

 先日、12月22日に、「歓待インフラ」研究会の東京ラウンドテーブルが開催され出席しました。テーマは「友愛と歓待」。歓待という着眼点のおもしろさについては、以前にも書きましたが、続いて友愛です。いずれにしても、人間の活動や空間を捉えるのに、こうした心情的な観点から見ようとすること自体、かなり独創的でおもしろいのですが、友愛なので、鳩山一郎だと。なるほど。だから、鳩山一郎氏の旧宅(1924年築・岡田信一郎設計)を会場にして開催すると、さらには途中でワインで乾杯する(写真)というアトラクションもあって、イベントとしての記念性、あるいはエンタメ的発想にも、独創性?を感じさせてくれた研究会(ラウンドテーブル)でした。ただし、それにしてはワイン後の鼎談の内容は普通の研究会と同質のものに留まった感があって、開催に協力した者として、少し残念なところもありました。

 しかし、田瀬望さんのフリーメイソンの内実を紹介してくれた話や、上田泰史さんの19世紀フランスの音楽サロンの話、そして谷直樹さんの関西の会所をめぐる話など、どれもあまりにも興味深い内容だったので、普通の研究会のような質疑応答が中心になってしまったのはしょうがなかったです。とりわけ、フリーメイソンや音楽サロンが、その時・場所の支配権力とは別の組織と権威を作っていったというのがよくわかり、だからこそ秘密結社のようになったり(フリーメイソン)、独自の収益モデルを作っていく(音楽サロン)ことになったことがよくわかりました。

 それに対して、日本の町の組織と運営、そしてそのための会所というのは、明らかに都市支配構造の末端に組み込まれ、それでも独自の構造・権威を確立していたというもので、ちょっと捉え方を変えて見る必要がありそうです。組み込まれていながら、独自であるという位置づけが、これはこれで、とても興味深いのですが、しかし、日本の場合は結局のところ支配権力とは別のオルタナティブの組織や活動というものが力をもつ、という場面がほとんどなかったようにも思えますよね。倶楽部のようなものがあったけど、あれも支配者層の社交のためのものでしたしね。

 日本の都市、とりわけそこで現われる組織や権威を考えていくうえで、一つの視点を獲得できたように、勝手に思っています。




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