先日、六録楼でテロワール研究を発展させた研究会の準備会を開催したのですが、そこで上智大学の坂野さんが報告してくれた、Vieux Parisの話は驚きました。Vieux Parisは、1900年のパリ万博で、2つの大きな会場を繋ぐ、セーヌ川沿いに作られたアトラクション(商業)施設です。これがなんと、失われたパリを再現するという大がかりなもので、図でもわかると思いますが、現代ありがちなハリボテのものではなく、きっちり作り込まれていて、設計も手が込んでいます。単に古い建築物を再現するのでなく、街区(都市組織)を再生しようとしているのです。そして、施設内でスタッフ(売り子)は、ちゃんと古いスタイルの衣装を身に付けていたという。もうこれはテーマパークそのものですね。すでに、1900年のパリで、こんなにも完成度の高いテーマパークが作られていたとは驚きです。これを建設したのは、風刺画家・SF小説家として知られるアルベール・ロビダ(Albert Robida)で、この人は単なる作家としての領域を越える事業も手がけているようなのです。いずれにしても、このVieux Parisについては、ほとんど日本では紹介されていないようです。今回のオリンピックの開閉会式で魅せた、「多様性」とかいってなんでも放り込んでしまう自由さも、1900年万博からのものなのかもしれませんね。